【きのくにICT教育】新宮市立熊野川中学校「社会科」授業実践|和歌山県教育庁
发布时间:2026-09-14 | 浏览:2
教育政策課 教育DX推進班です。きのくにICT教育ワーキング会議の取組記録を発信していきます。
今回は、 新宮市立熊野川中学校 で行われた2年生の社会科(地理的分野)の授業実践と、その後の協議会で交わされた内容を報告します。少人数の学習環境におけるICTの活用のあり方や、生徒の主体性を引き出すためのアプローチについて、非常に示唆に富む議論が行われました。
教科の学びで育む情報活用能力:社会科「中国・四国地方の交通網と地域生活の変化」
今回の授業は、「本州四国連絡橋や高速道路の整備が、地域生活にどのような変化をもたらしたか」をテーマに行われました。 交通網が発達することによる「プラスの影響(利便性の向上など)」と「マイナスの影響(地域産業の衰退や過疎化など)」について、生徒がデジタルとアナログを使い分けながら多角的に分類・整理し、自分なりの考えをまとめることを目指した授業です。
授業は小規模校の強みを活かし、生徒の思考に寄り添うアットホームな雰囲気で進められました。
導入と課題の共有: 地図や写真をもとに、中国・四国地方の主な交通網の位置関係を確認し、「交通網の整備が人々の生活をどう変えたか」という学習問題を共有しました。
導入と課題の共有: 地図や写真をもとに、中国・四国地方の主な交通網の位置関係を確認し、「交通網の整備が人々の生活をどう変えたか」という学習問題を共有しました。
Canvaを用いた分類・整理: 生徒はCanvaのホワイトボード機能を開き、あらかじめ用意されたワークシート上で、交通網の整備に伴うさまざまな変化(移動時間の短縮、ストロー現象など)が書かれた付箋を、「プラス面」と「マイナス面」にドラッグ&ドロップで動かして分類していきました。
Canvaを用いた分類・整理: 生徒はCanvaのホワイトボード機能を開き、あらかじめ用意されたワークシート上で、交通網の整備に伴うさまざまな変化(移動時間の短縮、ストロー現象など)が書かれた付箋を、「プラス面」と「マイナス面」にドラッグ&ドロップで動かして分類していきました。
多角的な視点での考察: 単なる知識の整理にとどまらず、マイナスの影響(過疎地域での高齢者の移動手段の不足など)に対して、「自分が政治家ならどう解決するか」という役割(立場)を設定し、具体的な対策を考えました。
多角的な視点での考察: 単なる知識の整理にとどまらず、マイナスの影響(過疎地域での高齢者の移動手段の不足など)に対して、「自分が政治家ならどう解決するか」という役割(立場)を設定し、具体的な対策を考えました。
紙による振り返り: 最後に、これまでの学習の足跡や考えの深まりを、あえて「紙」の振り返りシートに向き合い、自分の言葉で要約して書き留めました。
紙による振り返り: 最後に、これまでの学習の足跡や考えの深まりを、あえて「紙」の振り返りシートに向き合い、自分の言葉で要約して書き留めました。
授業における情報活用能力育成の4つのポイント
「PMIチャート」による情報の多角的な分類: 交通網の整備という社会的事象を、単に「便利になった」という一面だけで捉えるのではなく、PMI(Plus:良い点、Minus:悪い点、Interesting:興味深い点)の枠組みを用いて、多角的に情報を分類・整理する力を養っていました。
「PMIチャート」による情報の多角的な分類: 交通網の整備という社会的事象を、単に「便利になった」という一面だけで捉えるのではなく、PMI(Plus:良い点、Minus:悪い点、Interesting:興味深い点)の枠組みを用いて、多角的に情報を分類・整理する力を養っていました。
直感的な操作による「考える時間」の確保: キーボードの入力速度に引っ張られて思考が止まるのを防ぐため、あえて付箋を動かすだけのドラッグ&ドロップによる直感的な操作を取り入れ、学習内容の検討に集中できる環境を整えていました。
直感的な操作による「考える時間」の確保: キーボードの入力速度に引っ張られて思考が止まるのを防ぐため、あえて付箋を動かすだけのドラッグ&ドロップによる直感的な操作を取り入れ、学習内容の検討に集中できる環境を整えていました。
「自分ごと」にする役割設定の工夫: 地域が抱える課題に対し、「自分が政治家ならどう解決するか」という設定を設けることで、調べた情報をただの知識で終わらせず、社会的な問題解決の文脈で主体的に活用させる工夫がなされていました。
「自分ごと」にする役割設定の工夫: 地域が抱える課題に対し、「自分が政治家ならどう解決するか」という設定を設けることで、調べた情報をただの知識で終わらせず、社会的な問題解決の文脈で主体的に活用させる工夫がなされていました。
目的を明確にした「デジタル」と「アナログ」の選択: 瞬時の並び替えや整理はCanva上で行う一方、これまでの学びをじっくり内省し、自らの考えを整理して残す場面では「紙」のワークシートを使用するなど、活動内容の特性に応じたメディア選択を生徒に意識させていました。
目的を明確にした「デジタル」と「アナログ」の選択: 瞬時の並び替えや整理はCanva上で行う一方、これまでの学びをじっくり内省し、自らの考えを整理して残す場面では「紙」のワークシートを使用するなど、活動内容の特性に応じたメディア選択を生徒に意識させていました。
協議における情報活用能力育成のポイント
研究協議では、授業者の実践をもとに、少人数の学習環境における「対話」のあり方や、情報活用スキルの定着について議論が深まりました。
① 小規模校における対話を促す「仮想クラスメイト(AI)」の活用案
生徒数が極めて少ない環境では、どうしても教師と生徒の一対一のやり取りに偏りがちになり、多様な意見に触れたり対話が深まったりしにくいという課題があります。
協議会では、生成AIを「仮想のクラスメイト(熊野川太郎くん・中学2年生)」として授業に登場させるアイデアが検討されました。
協議会では、生成AIを「仮想のクラスメイト(熊野川太郎くん・中学2年生)」として授業に登場させるアイデアが検討されました。
AIの回答を『正解』として受け取らせるのではなく、「普通の中学生ならこんな風に考えるかもしれない」という少し不完全な意見や問いかけをAIに出させます。AIの回答を「正解」として受け取らせるのではなく、AIの回答に対して、「私はこう思う」「そこにはこういう問題もある」と生徒が反論したり補完したりすることで、少人数であっても視点を広げ、クリティカルに考える対話の場をつくることができるのではないかと話し合われました。
AIの回答を『正解』として受け取らせるのではなく、「普通の中学生ならこんな風に考えるかもしれない」という少し不完全な意見や問いかけをAIに出させます。AIの回答を「正解」として受け取らせるのではなく、AIの回答に対して、「私はこう思う」「そこにはこういう問題もある」と生徒が反論したり補完したりすることで、少人数であっても視点を広げ、クリティカルに考える対話の場をつくることができるのではないかと話し合われました。
② 「PMIチャート」を軸とした思考ツールの役割と本質
授業で活用された「PMI(Plus、Minus、Interesting)」などの思考ツールについて、その教育的効果と指導上の注意点が深く議論されました。
「可視化と整理」のツールとしての意味: PMIは、情報を仕分けして全体像を見えやすく(可視化)する上では極めて強力な道具です。しかし、協議では「思考ツールを使ったからといって、それだけで自動的に思考が深まる(理解に達する)わけではない」という本質的な指摘がなされました。
「可視化と整理」のツールとしての意味: PMIは、情報を仕分けして全体像を見えやすく(可視化)する上では極めて強力な道具です。しかし、協議では「思考ツールを使ったからといって、それだけで自動的に思考が深まる(理解に達する)わけではない」という本質的な指摘がなされました。
「広げること」と「深めること」の区別: 思考ツールは、あくまで考えを広げたり整理したりするための「足がかり」です。ツール上にきれいに付箋を並べて満足する(正解を当てはめるだけ)のではなく、そこから「なぜそう言えるのか」「立場を変えたらどう見えるか」といった葛藤や問いを生み出し、自分の言葉で内省(振り返り)するプロセスを重ねて初めて、思考が本当に深まっていきます。
「広げること」と「深めること」の区別: 思考ツールは、あくまで考えを広げたり整理したりするための「足がかり」です。ツール上にきれいに付箋を並べて満足する(正解を当てはめるだけ)のではなく、そこから「なぜそう言えるのか」「立場を変えたらどう見えるか」といった葛藤や問いを生み出し、自分の言葉で内省(振り返り)するプロセスを重ねて初めて、思考が本当に深まっていきます。
ツールを自律的に選択する力: 今後は、教員が指定したツールを使う段階から一歩進み、生徒自身が「この課題なら、PMIよりもウェビング(イメージマップ)でアイデアを拡散させたほうが考えやすいな」などと、自ら最適なツールを選び取れる力を育てていく必要性があると話し合いました。
ツールを自律的に選択する力: 今後は、教員が指定したツールを使う段階から一歩進み、生徒自身が「この課題なら、PMIよりもウェビング(イメージマップ)でアイデアを拡散させたほうが考えやすいな」などと、自ら最適なツールを選び取れる力を育てていく必要性があると話し合いました。
③ 思考の特性に合わせた「デジタル(Canva)」と「アナログ(紙の手書き振り返り)」の教育的な使い分け
デジタルでの情報整理が進む一方で、振り返りをあえて「紙の手書き」で行う教育的意義について議論されました。
物理的な「制約」の効果: 紙のシートの限られた記入枠(物理的な制約)の中で手書きすることは、自分の思考を要約し、理路整然と整理させるために非常に有効です。
物理的な「制約」の効果: 紙のシートの限られた記入枠(物理的な制約)の中で手書きすることは、自分の思考を要約し、理路整然と整理させるために非常に有効です。
学びの足跡の可視化: 1年間の紙の振り返りが蓄積されることで、生徒自身がこれまでの「学びの足跡」をいつでも手元で見返しやすく、自分の考えの変容を自覚(メタ認知)しやすいというメリットが共有されました。
学びの足跡の可視化: 1年間の紙の振り返りが蓄積されることで、生徒自身がこれまでの「学びの足跡」をいつでも手元で見返しやすく、自分の考えの変容を自覚(メタ認知)しやすいというメリットが共有されました。
Canvaによる直感操作の強み: 一方で、Canvaなどのデジタルは、情報の移動やPMIによる空間的な整理、Google マップを使った位置関係の探索など、直感的に作業を進めて思考のハードルを下げるために活用し、双方の強みを融合していく方向性が示されました。
Canvaによる直感操作の強み: 一方で、Canvaなどのデジタルは、情報の移動やPMIによる空間的な整理、Google マップを使った位置関係の探索など、直感的に作業を進めて思考のハードルを下げるために活用し、双方の強みを融合していく方向性が示されました。
授業で育成が図られた情報活用能力の整理
和歌山県が策定した「情報活用能力一覧表」に基づき、今回の学習活動を通じて特に育成が試みられたスキルを整理します。
思考ツールの活用 :交通網の整備がもたらした影響を、多角的な視点から分類・整理し、社会的事象を多面的に評価する力を養いました。
思考ツールの活用 :交通網の整備がもたらした影響を、多角的な視点から分類・整理し、社会的事象を多面的に評価する力を養いました。
比較する(C1) :地図や資料の情報を組み合わせ、交通網の発達前と発達後(ビフォー・アフター)の状況を対比させながら学びを深めました。
比較する(C1) :地図や資料の情報を組み合わせ、交通網の発達前と発達後(ビフォー・アフター)の状況を対比させながら学びを深めました。
分類・整理する(C2) :Canvaのホワイトボード上で、散らばっているさまざまな変化の要因を、ドラッグ&ドロップの直感的な操作によって視覚的に整理しました。
分類・整理する(C2) :Canvaのホワイトボード上で、散らばっているさまざまな変化の要因を、ドラッグ&ドロップの直感的な操作によって視覚的に整理しました。
図解する(C3) :交通網の発達と、それに伴う商店街の衰退(ストロー現象)などの社会的な因果関係を、視覚的・構造的に捉えました。
図解する(C3) :交通網の発達と、それに伴う商店街の衰退(ストロー現象)などの社会的な因果関係を、視覚的・構造的に捉えました。
熊野川中学校での実践と協議は、小規模校という環境を活かしつつ、少人数ならではの「対話の不足」や「主体的な思考の引き出し方」という課題に対して、ICTをいかに介入させるかという具体的な方向性を示してくれました。
デジタルによるスピーディな分類・整理、そして紙によるじっくりとした内省の使い分け。そして、教師が安易に誘導せず「待つ」ことで、生徒が自ら問いを立てていく姿勢。こうした丁寧な指導の積み重ねが、生徒たちの情報活用能力を、社会の事象を主体的に読み解く確固たる力へと育んでいくものと期待されます。
ICT + Challenge! ~IC²Tをあたりまえに~ 教育政策課 教育DX推進班でした。