左手(AI)はそえるだけ。「NBA 2K27」でDLSS 5におけるニューラルレンダリングの画質とフレームレート下落率を検証(アスキー)
发布时间:2026-09-08 | 浏览:2
2026年9月4日、Visual Conceptsによるバスケットボールを題材にしたゲーム「NBA 2K27」の配信がはじまった。本作はNVIDIAの最新技術である「DLSS 5」に対応している。本稿ではDLSS 5の簡単な解説とともに、NBA 2K27でどのような視覚的効果があり、パフォーマンスにどのような影響を及ぼすのか検証する。 賛否両論のNVIDIAの最先端技術「DLSS 5」の効果とは?
現状、DLSS 5はGeForce RTX 50シリーズ専用の機能だが、これはDLSS 5の計算負荷が最大級に重く、学習モデルをRTX 50シリーズ向けにチューニングしている最中であるためだとNVIDIAは説明している。このチューニングが終わり次第、RTX 40シリーズにもDLSS 5を解放するとNVIDIAは告知しているが、具体的な日時までは明言されていない。 そもそもニューラルレンダリングとはなにか? NVIDIAは、ゲームグラフィックの描画パイプラインにAIを取り入れることに関しては業界のトップを走っている。RTX 20シリーズより投入された「DLSS(Deep Learning Super Sampling)」を筆頭に、「DLSS Frame Generation」に「DLSS Multi Frame Generation」「DLSS Ray Reconstruction」などといった技術を継続的にリリースしている。 そして、今NVIDIAが注力している技術が「ニューラルシェーダー」だ。これは文字通りAIのニューラルネットワークをゲームグラフィックのパイプラインに組み込もうというものになる。このニューラルシェーダーを用いてレンダリングする技法が、ニューラルレンダリングである。 これまでフォトリアリスティックなゲーム画面を作ろうと思ったら、物理ベースレンダリング(PBR:Physically Based Rendering)が必要だった。画面内のポリゴンに光がどう反射して、どのように拡散するかなどを物理法則の数式を利用して計算する方法である。パストレーシングはレイトレーシングの上にPBRのルールを可能な限り完璧な形で再現できるようにする技術といえる。 これに対して、ニューラルレンダリングは物理法則に基づいた計算ではなく、AIの推論に重きを置いて高クオリティーな映像を生み出すことを意図している。そして、RTX 50シリーズはニューラルシェーダーをグラフィック処理の中で効率よく回すことに注力したGPUである。 DLSS 5ではニューラルレンダリングをDLSSの技術体系に落とし込み、その中にはNBA 2K27で利用できる「3D-Guided Neural Rendering」技術が組み込まれている。 解説に入る前にちょっと時間を巻き戻そう。DLSS 5は今年3月にアナウンスされたが、そこで紹介されたBIOHAZARD requiemの主人公グレースのレンダリングサンプルはかつてない批判の嵐を巻き起こした。一部表現がリアルになったことは確かだが、肝心のグレースの顔が “嘘くさく加工された写真”になってしまったからだ。 この批判が相当こたえたのか、NVIDIAは「DLSS 5はゲーム開発者の意向に反する処理はしない」という趣旨の説明を念入りに繰り返すようになった。下記の解説動画でも、「ジオメトリーは改変しない」など数々の予防線がそこかしこに張り巡らされているので必見である。 光やマテリアルの表現を画像生成で作り込む 3D-Guided Neural Renderingは、広い意味では「フレームごとに画像を生成する」技術となる。ただし、一般的な画像生成AIではゲームのフレームレートに追従できる性能は出せない。そもそも普通の画像生成AIでは生成するたびに得られる結果が異なるため、ゲームにそのまま使えないのだ。 そこで、3D-Guided Neural Renderingではゲーム画面の全体を生成するのではなく、ライティングやマテリアルの質感を補完することに絞った生成AIを使用する。DLSS 5の学習モデルはゲームグラフィック内のジオメトリーやテクスチャー、光と影の関係を保持できるようにトレーニングされており、同じ入力があれば常に同じ出力が得られる。すなわち、決定論的である。 そして、この学習モデルは「フォトリアリスティック」な映像を得ることに関する知見、つまり人物や石、テーブルや果物はどうしたらフォトリアルな画像になるかという手がかりが蓄積されている。麻布であれば麻布らしい光の散乱を与え、金属の箱には適用しない、といった感じだ。 3D-Guided Neural Renderingのもう1つの特徴は、「3種類のモデル」が選択でき、処理を適用する「範囲」と「量」を指定できるところ。まず3D-Guided Neural Renderingを有効にすれば画面全体に適用されるが、どの程度AIで効果を強めるかは選択できる。さらに、特定の領域にマスクをつけて効き方を調整することも可能だ。 重要な点は、3D-Guided Neural Renderingは画像生成AIのi2i(image-to-image)のように、雑に描いたものをマスターピースに仕上げてくれるものではない、ということだ。元のシーンの情報量が多いほどより優れた結果を得やすい。ゲーム制作者の「納期間際の最後のブラッシュアップ」をAIで支援する技術、というべきものである。 NBA 2K27で画質はどのぐらい変わる? では、NBA 2K27を用い、DLSS 5の3D-Guided Neural Renderingをチェックしてみよう。使用するには画質設定で「DLSSニューラルレンダリング」をオンにするだけ。3D-Guided Neural Renderingの強度を変更することはできない。オンかオフかの2択である。なお、今回はNVIDIAからレビュー用に提供されたβ版ドライバー(GameReady 616.64)を使用している。 以上のように、NBA 2K27の3D-Guided Neural Renderingは、プレイ中にはあまり効果が感じられない。ライブ中はカメラを引いたアングルになっている関係で少々立体感が増してもわからない。つまり、ゲーム自体の楽しさを左右するほどのものではない。 ただ、NBA 2K27の場合、シュートやファウルの後にはTV中継よろしく寄ったカメラからの画面に切り替わるので、3D-Guided Neural Renderingの効果がはっきりとわかる。なによりプレイバック機能を使い、お気に入りの選手が華麗にシュートを決めた瞬間を眺めるという楽しみ方(これが意外なほどハマる)ではぜひ欲しい機能だ。そのために3D-Guided Neural Renderingがあるといっても過言ではない。 GeForce RTX 5050〜5080でどの程度の差が出るのか? では、今回の検証環境を紹介しよう。GeForceはRTX 5050~5080まで6種類準備。ドライバーはレビュー用に提供されたGameReady 616.64を使用した。Resizable BARやSecure Boot、メモリー整合性やカーネルモードハードウェア強制スタック保護、HDRなどはひと通り有効化、ディスプレーのリフレッシュレートは144Hzに設定した。 検証環境 CPU AMD「Ryzen 7 9850X3D」(8コア/16スレッド、最大5.6GHz) CPUクーラー EKWB「EK-Nucleus AIO CR360 Lux D-RGB」 (簡易水冷、360mmラジエーター) マザーボード ASRock「B850 LiveMixer WiFi」(AMD B850、BIOS 4.43) メモリー Crucial「Crucial Pro CP2K32G64C40U5B」 (32GB×2、DDR5-5600動作) ビデオカード NVIDIA「GeForce RTX 5080 Founders Edition」(16GB GDDR7)、 Palit「GeForce RTX 5070 Ti GamingPro」(16GB GDDR7)、 NVIDIA「GeForce RTX 5070 Founders Edition」(12GB GDDR7)、 Palit「GeForce RTX 5060 Ti Infinity 3 OC 16GB」(16GB GDDR7)、 ASUS「Dual GeForce RTX 5060 8GB GDDR7 OC Edition」、 MSI「GeForce RTX 5050 VENTUS 2X OC」(8GB GDDR6) ストレージ Crucial「T700 CT2000T700SSD3」(2TB M.2 SSD、PCIe 5.0)、 Silicon Power「PCIe Gen 4x4 US75 SP04KGBP44US7505」 (4TB M.2 SSD、PCIe 4.0) 電源ユニット ASRock「TC-1300T」(1300W、80 PLUS TITANIUM、Cybenetics TITANIUM、LAMBDA A++) OS Microsoft「Windows 11 Pro」(25H2) D-Guided Neural Renderingを有効にすると フレームレートは激しく下がる 今回はフルHD(1920×1080ドット)、WQHD(2560×1440ドット)、4K(3840×2160ドット)の3通りでRTX 50シリーズのフレームレートがどのように変化するのか検証する。とくに、3D-Guided Neural Rendering使用時と非使用時でどの程度変わるかに注目したい。 NBA 2K27の全体的な画質は「最高」とし、被写界深度も追加。DLSSは「クオリティー」設定、フレーム生成は不使用と「6x」のマルチフレーム生成使用時の2パターンで試す。クイックマッチで1分間プレイした時のフレームレートを計測しているが、ファウルやタイムでカメラが切り替わるとフレームレートが急変する。そのため、カメラ切り替えを極力ゲーム側でオフにした上で実施することが肝要である。 フレームレート計測にあたっては「CapFrameX」を使用し、フレームレートの計算はmsBetweenDisplayChange基準で実施している。まずはフレーム生成不使用時のデータから見ていこう。 今回のテストでは、ホットキーを押すことで3D-Guided Neural Renderingのオン・オフを切り替えられた。3D-Guided Neural Renderingを切るだけで、目に見えてフレームレートが一気に上がったことが印象的だった。 平均フレームレートを比較すると、解像度が高ければ高いほど、GeForceが下のモデルであるほど3D-Guided Neural Rendering使用時の下落率が高い。フルHDかつRTX 5080であればオンにするだけで約40%下がる。 とくに下落率が厳しかったGPUはRTX 5060や5050といったエントリーモデルで、下落率は60%を超えた。解像度が4KになるとRTX 5060や5050ではメニュー操作すらおぼつかない。これは素のGPUパワーが少ないことに加え、VRAMも足らないという状況なので、下落率が高くて当然だ。 ただし、3D-Guided Neural Renderingを使わなければ、RTX 5050でも4Kでユルい接待プレイ程度の遊び方はできる、という点は覚えておきたい。続いては、6xのマルチフレーム生成を使用した時のフレームレートを見てみよう。 マルチフレーム生成を利用するとフレームレートは激増するが、それでもRTX 5080+4Kでは3D-Guided Neural Renderingを使うと平均240fps程度なのに対し、使わない時は500fpsを超えるという点に注目したい。下落率に注目するとフルHDではどのGPUも32%前後、4Kだと50〜60%と、フレーム生成不使用時に比べると下落率が緩和されている。 ただし、素のフレームレートが低い状態でマルチフレーム生成処理を加えると、アーティファクト(輪郭の崩れやゴミの発生)が発生しやすい。RTX 5060 Ti 16GB以下のGPUでは、4Kでアーティファクトの発生がはっきりと視認できた。とくに、カメラがクローズアップになると、輪郭の崩れが目立つ。VRAMが12GBのRTX 5070だと、4KではVRAM警告が出るもののプレイそのものは快適だった。 まとめ:NBA 2K27においては、左手(AI)はそえるだけ NBA 2K27の3D-Guided Neural Renderingはとにかく重かった。重い割にプレイ中は特段のメリットは感じられない微妙な要素であることは否定できない。ただし、プレイ中に差し込まれるカットシーンやクローズアップでは選手の描写が格段に進歩している。このためだけにRTX 50シリーズに乗り換える価値があるとは言わないが、最新技術の1歩目といった感じの出来だ。 そして、解説で示した通り、現状の3D-Guided Neural Renderingはフォトリアル路線を突き詰めるものであるため、「原神」のようなアニメ調、「Overwatch」のようなカートゥーン調の描画とは相性が良くない。キャラ以外の領域なら3D-Guided Neural Renderingが活かせそうだが、苦手なゲームはどうしても生まれてしまう。万能技術ではない。 だが、最初期のレイトレーシングがそうであったように、最初はオマケ程度であったものがいつの日かあって当たり前のものになることは珍しくない。NBA 2K27は影やAmbient Occlusionに絞った表現にすぎなかった(ように見えた)が、別のゲームではもっと驚くような使われ方をする可能性もある。学習モデルの進化が進めば表現の幅が増え、動作も軽快になることだろう。 少なくとも、DLSS 5がAI Slop(ゴミ)を生むという批判は的外れであり、既存のゲームに強引にDLSS 5を組み込んだ画面を見て「ゴミ」と罵るのはよろしくない。3D-Guided Neural Renderingは開発者がコントロール可能であり、正しい入力や制約をつけてはじめて評価できる技術である。非対応のゲームに強引に導入して「すべてを知ったかのように」批判するのは的外れであろう。 ただし、開発者がすべてをコントロールして実装した現状のNBA 2K27において、3D-Guided Neural Renderingはまだまだ「そえるだけ」といった印象を受けたことは確かである。今後の進化に注目したい。
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